──詠春拳の源流に触れる長編ドラマ
武術ファンとして、そして詠春拳を学ぶ身として、どうしても見逃せなかったのがこのドラマ──
『リアルカンフー 佛山詠春伝(原題:佛山梁師父)』です。
全20話の長編ドラマながら、最後まで飽きずに見られました。
ストーリーにはスリルがあり、カンフーアクションだけでなく、人間ドラマとしても見ごたえのある作品です。
詠春拳五代目・リョンザンが主人公
この物語の主人公は、詠春拳五代目の梁贊(リョンザン)。
実在の人物で、もともと長かったひとつながりの型を「小念頭(Sil Lim Tao)、尋橋(Chum Kil)、標指(Bil Jee)」の三套路に分けた人物と言われています。
武術としての詠春拳が、体系立てられていく過程が丁寧に描かれており、学んでいる立場から見てもとても興味深い内容でした。
木人の誕生や、あの人物との出会いも
劇中では、詠春拳の木人(もくじん)が誕生する瞬間にも立ち会えるシーンがあります。
あの構造がどのように作られていったのか、その背景にある考え方や師弟のやりとりが描かれていて、非常に印象的でした。
もちろん創作ですので事実とは異なることも多いと思いますが、色々な解釈を柔軟に楽しんでもいいのではないでしょうか。
また、後にイップ・マンの師となるチャン・ワーシュン(陳華順)も登場。
彼が若き日、どのように武術を学び、友情や恋に揺れながら技を磨いていったのか──
そうした人間味のある側面にも焦点が当てられています。
カンフードラマとしてだけでなく、物語としても面白い
この作品の魅力は、詠春拳の技術や歴史だけではありません。
リョンザンを中心に展開する友情・師弟関係・三角関係の恋模様など、ヒューマンドラマとしても引き込まれます。
武術に関心のある方はもちろん、ドラマとして楽しみたい方にもおすすめです。
おわりに
詠春拳王と言われる“リョンザン”という人物が、どんな時代に、どんな想いで武術を磨いていたのか。
このドラマを通じて、詠春拳の歴史がより身近に感じられるようになりました。
そして俳優陣の素晴らしさ・・・カンフーアクション好きなら表紙を見るだけで驚きの武術本格派の役者さん揃い。
個人的にユンピョウとティミーハン(サモハンキンポーの息子)のコンビの親子のような掛け合いが大好きです。
リュー・チャーフィー、リュー・チャーフィー、レオン・カーヤンなどの名だたるカンフースターがおりなす美しいアクション。
ただ暴力的なアクションではなく、技の美しさ鍛錬の尊さを感じられるドラマです。
修行中の方も、そうでない方も──
詠春拳という武術がどう育まれてきたかを知る上で、とても価値のある作品だと思います。
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詠春拳の五代目・リョンザンの物語を描いた長編ドラマ。木人の誕生やチャン・ワーシュンとの関係など、詠春拳の源流を感じられる一作です。
