武術と舞踊の共通点|詠春拳と日本舞踊を学んで気づいたこと

毎年、夏休みになると親子で通っている日本舞踊教室。
短い期間ではありますが、素晴らしい先生方から踊りだけでなく、礼儀作法や美しい所作も学ばせていただいています。

詠春拳を日々修行している私にとって、日本舞踊の時間はまったく異なる世界……と思いきや、実は共通点の多さに驚かされます。


「丹田」 「地に足をつける」感覚

詠春拳では「中正の姿勢」や「丹田を意識した動き」がとても大切にされていますが、これは日本舞踊にも通じるものがあります。

バレエは上へ上へと伸びていく感覚があるのに対し、日本舞踊は下へ下へとつながっていく感覚があります。
地面に吸い付くように足を動かす。
まるで大地とひとつになるようなその動きは、詠春拳で感じる“構え”にもとてもよく似ていて、学ぶほどに日舞の虜になっています。


手の形にも共通点が

今回は、特に面白いと感じた「手の形」の共通点をご紹介します。

詠春拳では、親指を中に織り込む独特の構え方をします。
拳を握る時だけでなく、掌を出す構えでも、親指を中に巻き込むことで相手との接触感覚が高まったり、肩甲骨と指先まで筋がピンと通る感覚があります。

そして驚いたのが、日本舞踊でも同じように「親指を中に入れる」所作があったこと。

日舞の指先は滑らかでやわらかく、詠春拳の手は角張って鋭く──
表現は異なりますが、親指をしまうことで肩甲骨から指先までが整い、全身の軸が整ってくる感覚はそっくりです。


武術も舞踊も「軸」が命

私はまだどちらも修行中の身で、専門的な理論を語ることはできません。
でも、どちらにも共通する「身体の軸」 「重心」 「肩甲骨の使い方」 「動きの始まりをどこから生むか」などの感覚が、学ぶたびに楽しくて仕方がありません。

詠春拳の稽古も、日本舞踊の稽古も、
「静かな中にある動」 「動の中の静けさ」を感じる時間です。

今年の夏も、親子で日舞に通えることに感謝しつつ、
武術と舞踊の“美しい交差点”を、これからも大切に味わっていきたいと思います。

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