庭と山の恵みで、手づくりチンキ

小さなガラス瓶に詰められた、自然の恵み。
薬局では手に入らない、手づくりのチンキが私たちの暮らしをそっと支えてくれます。

今回は、庭で育ったドクダミとアロエ、そして山で出会ったへびいちごを使って、
娘と一緒にチンキづくりをしました。
どの植物も作り方は簡単。きれいに洗って水分を取り除き瓶に入れ、ひたひたになるまでホワイトリカーを注ぐだけです。

ドクダミ、アロエ、へびいちごのチンキ
ドクダミ、アロエ、へびいちごを漬け込んだ自家製チンキ。

親子の手しごと、「早くお薬つくろうよ」

こういった作業が大好きな娘。
私が瓶やホワイトリカーを準備していると、目を輝かせて駆け寄ってきて
「早くお薬つくろうよ」とせかしてきます。

娘にとっては、魔法の実験のようなワクワクする時間なのかもしれません。
私もおばあちゃんや母からハーブの使い方を習ったとき、はじめて自分でチンキを作った時、
こんな風にワクワクしたことを思い出します。


ドクダミは、香りの強い頼れる存在

庭中に生えるドクダミは、根からしっかりと抜き、葉と茎を束ねて日陰に吊るして乾燥させます。
今回はチンキに使うため、小さな白い花だけを丁寧に摘み取り、ホワイトリカーにそっと漬け込みました。

ドクダミには、殺菌作用・消炎作用・虫除け効果などがあり、肌のかゆみやかぶれに使える頼もしい薬草です。

強い香りは好みが分かれるところですが、瓶の中で少しずつ香りがまろやかになっていくのも楽しみのひとつ。


へびいちごとの出会いは、山の自然観察施設で

このへびいちごは、先日泊まった山の自然観察施設で見つけたもの。
娘と夫と三人で川で生き物観察をしていた時に、川辺にひっそりと生えている赤い実を見つけました。

見た目はかわいらしいけれど、食用には適さず、昔から「薬いちご」として知られる存在です。
以前は庭でも育てていたのですが、枯れてしまい。少しだけ実と種を頂いて持ち帰りました。

へびいちごのチンキを作るときは実だけを摘み取り、ドクダミと同じくホワイトリカーに漬け込みます。
こちらも虫さされや肌のかゆみに使えるのですが、面白いことに、へびいちごがよく効く人と、ドクダミの方が合う人がいて、
人によって効果に差があるのが不思議です。

漬けてから一週間ほどすると、ほんのり甘い香りが立ち上がってきます。
瓶の中はアルコールとへびいちごの甘酸っぱい香りで充満して、嗅ぐと少し酔ったような気持ちになります。


久しぶりに仕込んだアロエのチンキ

普段はアロエの葉を必要なときに一枚ずつちぎって使うので、チンキにすることはほとんどありません。

ですが、最近アロエが鉢の中でぎゅうぎゅうに育ちすぎてしまい、葉が細くなってきたのをきっかけに、株分けを決行。

大量の葉を間引いたので、今回は久しぶりにアロエのチンキを作ることにしました。
アロエには、やけど・切り傷・肌の乾燥・虫刺されなどに効く成分が含まれており、一本持っておくととても便利です。

葉の中の透明なゼリー状の部分やホワイトリカーが、時間とともに琥珀色に変わっていく様子も神秘的で、
本物の琥珀を覗くように、アロエの生命力や癒す力を見ているような気持ちになります。


暮らしの中に、草木のちからを

自然の中で生きてきた草花たちは、
私たちの暮らしの中で、静かに、でも確かな力を発揮してくれます。

庭や山で出会った植物たちが、時間をかけてチンキになり、
必要な時に、そっと力を貸してくれる。

その一滴に、季節の記憶と手しごとのぬくもりが宿っています。


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